0人が本棚に入れています
本棚に追加
ーーまた、渡せなかった。
微かに聞こえたその声を辿る。
行き着いた場所には小さな女の子。
「君の後悔はなんだい?」
振り返った少女は頬を赤らめている。
その小さな胸にハート型の箱を抱いていた。
「これを渡すの。でも、誰に渡すのか忘れちゃった。」
「君に2時間だけあげる。その2時間だけは元に戻るんだ。君の記憶も・・・身体も。」
霞ゆく少女の身体が徐々にハッキリと見え出す。
「・・・!ゆう、ちゃん・・・。」
「2時間経てばまた霞んでいく。消える瞬間は決して見られちゃいけないよ。」
頷いた少女は小さな一歩を踏み出した。
最初のコメントを投稿しよう!