引き寄せた

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車に戻って来た時の また満面の笑み、 この笑顔に ほんの少しだけ やられそうになったかもしれない。 すぐ打ち消したけど、、。 こんな小僧に そんな馬鹿な、、って。 悪い奴じゃなさそうな事は 分かってきたけれど。 アパートはすぐ坂の上だった。 最後までひつこい 音聴いて作戦、諦めて車おりる気配もなく 挙句 少し酔いを覚ましたら、と。 「誰か他にいるとか? いきなり 豹変するとか?」 誘いに比例して警戒心は 強くなる。 明るいけど必死の懇願、 笑いながら もちろん誰もいない、絶対変な事はしない、と硬い約束をして、、 「じゃあ、、、 少しだけね、すぐ帰るよ。 珈琲ある?」 自分でも 思い返せば驚くが 何故か ついて行ってしまった。 オートロックを解除し 階段を登って、 部屋は307号室。 1番奥のドアを開けて入る。 ワンルームの部屋、入ってすぐステレオ系音響道具が並び 奥にはベッド。 智雄は さっきの店よりも 何か紳士的オトナ対応になり、お湯を沸かして すぐ音の設定をしている。 ちょっと安心、床に座って音と珈琲を待ちながら 煙草に火を点けた。
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