それは始まり

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「140億年もあったら上もたぶん忘れてくれてるよね…。その時初めて気付きましたって言えばいいよね…。怒られないよね…」 「そもそも僕らの寿命的に、140億年後はこっちも全員総入れ替えになってると思いますけど」 「確かに!というわけでだ部下くん、この話は無かったことにしよう」 「そうですね…じゃないでしょ!駄目ですよ、ちゃんと報告しないと。たぶん100億年くらいは今の体制なんですから、途中でばれたら怒られるとか減給とかじゃ済みませんよ。隠蔽工作、仕事内容詐称等々で逮捕されますよ!しかもこんな国家プロジェクト!」 「大丈夫大丈夫、ばれないばれない」 「…あーもうじゃあいいです!僕が報告書書いておきますから!」 「……部下くん、黙っておく気は、ないのかい?」 「ありません!巻き添えはごめんです!」 「………そうかい、残念だなぁ」 「そうですね。はいじゃああなたは自分の仕事をしてくださ……っ!?」 「………おやすみ、部下くん」 ― ―― ―――あれ。 「ちょっとー部下くん、なに寝てるの。私の作業終わったよ。総務に報告頼むよー」 「……あれ?僕寝てました?」 「床に倒れて布団被ってるのを寝てるって言わずになんて言うんだい?ほら、総務から急かされてるんだろ?とっとと行って行って!」 「あ、はいわかりました…って、そもそもあなたが作業してなかったのが悪いんじゃないですか」 「はい、細かいことは気にしない!よろしくねー」 「…うーん、何か大切なことを忘れているような、いないような…」 ――140億年後、【宇宙】と呼ばれた一つの世界が、始まりと同じく唐突に無に帰すことになるのだが、それはまた別のお話――
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