2日目

2/20
117人が本棚に入れています
本棚に追加
/164ページ
ダグは意味なく笑いながら、 「自分で脱いだんだろ?朝起きたらああなってた」 と、言った。 「信じていい?」 「信じてくれ」 そこは強く言った。 ケントは少し安心したように、 「それならいい」 と、言って出て行った。  ダグは下着をシャワーで手洗いすると、ドライヤーで乾かしてそれを履いた。 リビングに行くと、ケントがコーヒーとフレンチトーストを用意してくれていた。 「悪いな」 「いや、俺、客が来るのは好きなんだ。好きでやってるからいいんだ」 ケントは嬉しそうに笑った。 二人はソファーの横に置いてあるテーブルにつくと、朝食をとった。 「表の様子が見たいんだけど…窓、あるかな?」 「ああ、奥の部屋しか窓が無いんだ。俺の寝室。入っていいよ」 「じゃあ、後で入らせてもらうよ」 二人は小声で会話していたが、アイラはスヤスヤと眠っていた。シーツがちゃんと肩まで降りていて、顔が出ていた。ケントがかけなおしたのだろう。 ケントはアイラの寝顔を見つめながらトーストをかじった。 「さっきはゴメン」 「何が?」 「あ、疑ったりして…アイラのこと…」 「心配なんだろ?仕方ない」 「うん…キスマークがあったから…胸に…」 そこまで見ていなかった。 「そう、なんだ」 「俺には怒るくせにさ、キスマークつけたら…すごく怒るんだ」 ケントは笑った。 ダグはケントが気の毒に思えて仕方なかった。多分、利用されるだけされて、捨てられるパターンだ。 「スズキさんならいいのかな…」 ケントのその言葉は怒っているというよりは、寂しそうだった。  朝食を終えた後、ダグは奥の寝室に入らせてもらった。そしてベランダから外を見た。 そのソバで、ケントがシャワーを浴びる為の準備をしていた。 ここら辺は住宅街だ。住宅の合間にアパートやマンションが並んでいる。 向かいの家では中年の男が庭で水やりをしている姿があった。犬の散歩をしている老夫婦がゆっくりと前を通り過ぎて行く。 このアパートの一階に、人が頻繁に出入りしていた。 「この一階って、店?」 ダグがベランダから下を覗いた。 「小さなスーパーと、隣がパン屋」 「ああ、それでか…」
/164ページ

最初のコメントを投稿しよう!