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10月10日、そんな家庭に一匹の犬がやってきた。
毛足の長い赤茶色の犬だ。
ガレージの柱にリードがくくりつけてあり、妹が嬉しそうに撫でていた。
妹は、私に気がつくと満遍の笑みで、「姉ちゃん!見て!可愛いやろ?貰ってん!」と言った。
「はぁ?!貰った?!」
話を聞くと、いつも遊びに行く公園でその犬のリードを木にくくりつけて帰ろうとするおじさんがいて、
妹がおじさんになぜ置いていくのか尋ねると、犬には目に病気があり、自分は面倒が見れないから捨てるのだと言ったので、妹は自分が貰って帰ると告げ連れてきたのだった。
犬の目を見ると、左目に茶色いシミのようなものが確かにあった。しかし、ちゃんと目は見えているようだし、いくら病気とはいえ、公園に捨てて帰ろうとするなんて許せないと思った。
しかし、動物を飼うには私達の独断ではできない。
「どうすんの?あかん言われたら、またこの子捨てられてしまうかもしれへんで?」
「大丈夫やで!だって、父さんに犬飼いたい!ゆうたら拾ってこい!っていつもゆうてるもん!だから、大丈夫やし、うちが面倒みるもん!」
本当に大丈夫なのだろうか、そう思いながら犬に目をやると、あたかも私達の会話を理解しているかのように、悲しそうな顔でくーん、と鼻を鳴らしていた。
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