第3章 岡山城

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純平は首を横に振った。 顔を横を向いたままだが表情が険しいのがわかる。 いけない事を聞いてしまった。 そんな気がした。子供が欲しくても出来ない夫婦もいる。不妊治療は高額と聞く。 変な詮索はもうよそう。質問した事を後悔した。 「しかし、良い天気ですね。さすが晴れの国、岡山ですね~」 うって変わって欠伸をしながら 純平が大きく伸びをした。 気まずい空気が変わってホッとした。 「登りましょう」 「えっ?」 「お城に」 「ああ、はい」 純平の後をついて登った。 階段の段差があるところは純平が手を引いてくれた。 気恥ずかしかったが、万が一転んでしまったら流産になってしまうかもしれない。気遣いが出来る男性。いいなと思った。真一もそれこそ恋愛当初はマメだったが結婚してからは釣った魚には餌をやらないところがあるのが不満だった。 天守閣から旭川を望み絶景のパノラマロケーションが広がった。頭上を水鳥がピューイと音を立てて羽ばたき、水面へと静かに着水した。 小学生の遠足、真一とのデートに続きここに来るのは3回目だ。 「あそこなんですよ、実は僕が結婚式を挙げたのは」 純平が対岸のホテルを指差した。 見えるのは岡山城を望みながらウエディングが出来る人気のホテル。真由美も一時は岡山で式を挙げようと思ったことがあったから真一とブライダルフェアに参加した事があったのでよく知っていた。 「カミさんが地元なので、ご両親もいる岡山で挙げたほうが良いかなと思ったんです。僕は関東に住んでいたんですが結婚を気にこちらに移住するのも決めてました」
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