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空想を打ち消したのは男性が真由美のソフトを舐めるそぶりをしたからだ。
咄嗟に避ける。
男性が微笑む。
「ごめんなさい。もちろん冗談ですよ。僕は普通のバニラ味だったから一口舐めたくて」
ペロッと舌を出したところが可愛い。不思議と嫌な気分はしなかった。
「申し遅れました。僕は純平といいます。32才。よろしくです」
「真由美です。30才。よろしくお願いします」
高津先輩と同い年だった。
地元の人間なのか気になった。
でもすぐにちがうなと思った。
岡山城は観光スポットだ。地元育ちがふらっとくるところではない。来るとしたら今日の私みたいに思い出に浸りたい時だ。
「お子さんの名前考えてるんですか?女の子ですよね」
純平が真由美に聞いた。
覚えていてくれたんだ。興味を持ってくれたことが嬉しかった。
「鈴音にしようかなと思ってます」
音楽が好きなので音という文字を入れたかった。鈴の音のように人の心を和ませる人に育って欲しい。二人の願いを込めた。
「鈴音ちゃんか。可愛い良い名前ですね」
真由美のお腹に視線を移し微笑んだ。
「純平さんはお子さんは?」
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