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第4章 後楽園
家に帰り眠りにつく前にLINEをチェックする。真一からだった。
スパゲッティとサラダです。
写真いりでまた送られて来た。
不器用ながら自炊しているところは褒めてあげたい。掃除やら洗濯やら今迄私がやってた分の負担も増えたのだから。
真一は建築業界の営業マン。仕事はキツイと聞いていた。毎月の数字のプレッシャー、クレーム対応。パワハラまがいの事もされてるらしいが心配をかけまいとしているのか妊娠してから真一の愚痴はほとんど聞いたことがなかった。今日も写真の同じ位置に赤いマグカップはあった。
合格~栄養あるもの食べてね。
そうLINEにメッセージを送ったあとふと真一の過去に想いが巡った。1人だけ女性がいるとしたらー。真一の元妻だった。
真一が離婚していたのを知っていて付き合い始めた。結婚も合意の上だった。真一の口から元妻のことはほとんど語られなかった。
どんな出会いがあり別れがあったのか。もし、ずっと未練を持ち続けていたのならー。
これ以上は考えられなかった。
あくまで推測に過ぎなかった。
お腹の鈴音に子守唄を唄いながら眠りにつこうとした。だけどダメだった。気になって眠れない。
LINEでまたメッセージを送る。
今のうちに教えて。なんで離婚したの?まだ前の奥さんのことを思ってるの?
既読になっても返信がない。やっぱり何か隠してる。辛い。お腹が締め付けられるように痛んだ。
何で返してくれないの?真一。
声にならない思いだけが募った。
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