第3章 岡山城

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第3章 岡山城

次の日、天気が良かったので散歩に出かけた。バスで少しいけば岡山城に行けた。 子供の頃は大きくみえた岡山城も今みれば小ぶりな可愛い城だ。 桃太郎の音楽が近くでながれている。子供むけのイベントが行われているらしい。 耳を傾けているとすっとソフトクリームが後ろから差し出された。 驚いて振り向くと、新幹線で会ったあの男性が笑顔でソフトクリームを二つ持って立っていた。 「良かったら、どうぞ」 驚きと軽い興奮が混じる。 「先日はどうもありがとうございました。偶然ですね。こんなところで会うなんて・・いいんですか?」 「もちろんです。そのために買ったんですから」 ベンチに並んで座る。 桃味のソフトクリームを一口舐めた。美味しい。爽やかな酸味が広がり心地よかった。半年前におかしくなった味覚がようやくなおって来て嬉しい。 妊娠中は食生活が変わる。予備知識では知っていたがこれほどまでとは思わなかった。 マックのポテトを山盛り食べたくなって自転車を漕いで駅前まで走ったり、夜中に吉野屋に牛丼を買いに行ったりもした。 それまで体重を気にして野菜中心の食事をしているのを知っている真一は空いた口が塞がらない様子だった。今思い出しても苦笑する。
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