第1章

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パラパラとテーブルに落ちるファンデーション。 そっとティッシュを掴み、それを拭う。 段々と乾いて固着してくれるのだが、その間はしつこく落ち続ける。 身動き一つがファンデーションの塊を落としていくのだ、いい加減うんざりする。 ・・・こんなことならあの日、その足でどっかよく知らんが研究所とかせめて警察とか市役所とか公機関に助けを求めるんだったよな。 んだけど、俺すでに犯罪行為山ほどしちゃってるしなぁぁぁ。はぁぁぁ。 あの日。 あれが起きたのは今から一年前のことだった。 日課の散歩をしていて、足を滑らし、農業用水路へポチャン。 ちょうど梅雨時期だったこともあり、腰ほどまでしかない水だったが流れが速く、いくらもがけども滑りに滑らされ、まるでウォータースライダーのように流れに流され、そして・・・ 気がついてみたら全裸で河原に横たわっていた。 いくら探しても見つからない我が衣服。 どこまで流されたのかもわからない見慣れぬ景色。 そして背後には大都会。 ・・・やべえ。 全裸でどうやって帰ろう。 思えば悪夢はあそこから始まったんだった・・・。
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