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「
ぬばたまの
深き闇夜に
散りゆくは
われが涙か
まちが光か
」
「随分哀しい歌を詠むんだね。待ち人が来ないの?」
懐かしい声が聞こえて、
えっ、と少女は振り返る。
「それ、好きな人にあげるんだろう」
ここには、誰もこないはずで。
ここは、私だけの場所のはずで。
なにより、彼はもう、いないはずで。
少女が戸惑っていると、少年は飄々とした風に笑った。
「
うばたまの
夢見ればこそ
我が想い
君に届くか
深き闇夜に
」
少年はそれだけ口ずさむと、
少女が手に持っている包みだけを攫い、
彼方へ消えていった--------。
「「大好き」」
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