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「思わないか? 家族でも恋人でも友達でも、なんでもいい。
手を放すってのは、相手のことにもう関知できなくなるってことだ。
泣いていても苦しんでいても、もう助けてもやれなくなるってことなんだ。
今の坂田を見れば、わかるだろう。平気そうにしてても、ひとりになったらどこに流れていってしまうかわからない男なんだよ。
だから、あのコは絶対坂田の別れ話に従うべきじゃなかったんだ」
一瞬感情が昂ぶってしまったのか、浅海先生は少し恥ずかしそうにしながらふー……と深く長い息をつく。
私たちはなに一つ言葉を挟めなくなってしまっていた。
「……これと決めた相手が泣いてても、そばに駆けつけてもやれないなら、そんなの死んだ方がマシだね」
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