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いつものように、どこか沈んだ気持ちで中居家のインターフォンを押す。
明かりは、点いていた。
露骨にボリュームを上げられたテレビの音が、漏れ聞こえている。
雨の音がしているのに。
俺の訪問を拒否するためだ。
明らかな意思を持った居留守。
この数ヶ月、こうして訪ねることそのものを拒否されることが多くなった。
迷惑がる気持ちもわからないでもないのだが、これでは俺の方も意地になってしまう。
カバンの中から手帳を取り出し、“また来月伺います。坂田”と走り書きをして破り、ポストに落とし込む。
こうしてここに来るのも、無視されるのも、何度目だろう。
引けない一方で、俺のこうした行動が中居を追いつめてしまわないか、心配になってしまう。
斉木を死なせた女の実の兄なのだ。
彼女と同じような脆い部分が彼にはないと言い切れないのだから。
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