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「…祐斗さんと、別れたんです」
「えぇっ!?」
あまりの衝撃につい椅子から立ち上がってしまう。
「ら、来月に結婚するって言ってなかったっけ?」
「はい。なのに、なのに…!!」
目尻にたまっていた涙がポロリと零れ、栞は本格的に泣き出してしまった。
ますます周りの視線が突き刺さるのを肌で感じるけれど、今はそれどころじゃない。
別れた。別れたって!?
栞と祐斗君が!?
あの見てる方が恥ずかしくなるほどの2人が!?
会う度にほとんどお互いの惚気ばかり話す2人が!?
詳細を聞こうと栞に話しかけるも、泣きじゃくる彼女には声が届いていないらしい。
異常な光景に周りのざわめきが大きくなる。
このままここで話を続けるのは難しい。
「し、栞。とりあえず私の家行こう?」
軽く手を引けば素直に立ち上がってくれたので、私たちは異常なものを見る目を無視して、カフェをあとにした。
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