第1章

4/9
前へ
/9ページ
次へ
「…祐斗さんと、別れたんです」 「えぇっ!?」 あまりの衝撃につい椅子から立ち上がってしまう。 「ら、来月に結婚するって言ってなかったっけ?」 「はい。なのに、なのに…!!」 目尻にたまっていた涙がポロリと零れ、栞は本格的に泣き出してしまった。 ますます周りの視線が突き刺さるのを肌で感じるけれど、今はそれどころじゃない。 別れた。別れたって!? 栞と祐斗君が!? あの見てる方が恥ずかしくなるほどの2人が!? 会う度にほとんどお互いの惚気ばかり話す2人が!? 詳細を聞こうと栞に話しかけるも、泣きじゃくる彼女には声が届いていないらしい。 異常な光景に周りのざわめきが大きくなる。 このままここで話を続けるのは難しい。 「し、栞。とりあえず私の家行こう?」 軽く手を引けば素直に立ち上がってくれたので、私たちは異常なものを見る目を無視して、カフェをあとにした。
/9ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加