序章

2/2
143人が本棚に入れています
本棚に追加
/81ページ
頭が痛い。 吐き気がする。 眠りから目が覚めるなりしたくもない事をして朝が始まり仕事やら何やらと大して何の変化もない、苦痛でしかないような時間をただただ無難にやり過ごす。 笑いたくもないのに笑う毎日。 疲れている身体に鞭うって得られるのは所詮一時しのぎの生活費。 こんなの。 「……嫌」 こんな状態で生きてるだなんて言えるだろうか。 ただ綺麗なものだけを見ていられたらだなんて、もう何度願って。 何度無理に決まってると絶望したか。 素直に思った言葉さえまともに吐けず望まれた「私」を演じる虚しさを何度感じたか。 都合のいい必需性。 結構だがうんざりだ。 望まない喧騒。 勘弁してくれ。 孤独を恐れながらも孤独を望む、矛盾だらけの思考回路。 ああもう馬鹿らしい。 頭がおかしくなっていく。 心が侵食されていく。 誰か。 「……たすけて」 もう自分が何をしたいか。 それすら私にはわからない。 今の私には息を吐く事すら苦しくて。 ただの苦痛でしかないんだ。 ずっと、ずっと。 そんな日々の繰り返しだと。 そう私は思っていた。 あの日。 私の元に。 あの手紙が届くまで。
/81ページ

最初のコメントを投稿しよう!