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『ちょっ…ちーちゃん!』
慌てて止めに入る亜紀ちゃんに私は人指し指を口に当てた。
「大丈夫。さっきの…ここから出てはならぬって言ってたでしょ?それならここにいるなら動いてたっていいんだよ。それに、じっとしてても仕方ないよ…。」
私がそう言うと亜紀ちゃんは俯いた。
きっと同じ思いでいる、だけどどうしたらいいのか分からないのだ。
私はもう一度部屋の中を確認した。
しかし、引き出しを開いても何も無い。
押し入れらしき襖を開けたが何も無い。
そんな私を皆が見ていた。
諦めかけていたその時、
『俺もやるよ。』
そう言って横に立っていたのは南宏太だった。
「あっ…南さん。」
名前を呼ぶとちらりと私を見て微笑みながらまだ開けていない引き出しを引いた。
『宏太でいいよ。君の言う通りだ、じっとしていても仕方ない。今、出来ることをしよう。』
「はいっ。」
自分の意見に賛同してくれたのが嬉しくて涙が溢れそうになった。
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