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「カラスガコクって…三崎さん、何か知ってるんですか?」
皆の視線が三崎さんへと向けられた。
『それ、‘トリ’じゃなくて‘カラス’よ。漢字、よく見て。中の棒が一本少ないでしょ?』
皆は視線を古びた本へ戻した。
「あっ…本当だ。よく見ると違う漢字。」
『…ただそれだけよ。』
「さすが大学受験控えてるだけあるね。」
私は亜紀ちゃんに同意を求めた。
しかし…
『でも…なんでカラスガ‘コク’ってすぐに分かったの?カラスガクニかもしれないのに。』
亜紀ちゃんの鋭い指摘に三崎さんはギクリとした様子だ。
周りの皆はその通りだと三崎さんへと詰め寄った。
無理もない。
こんな見ず知らずの気味の悪い所は一刻も早く抜け出したい。
何か知り得る情報があるならば、聞きたくなるのは当然の事。
みんなに詰め寄られた三崎さんは唇を噛み締め、ようやく口を開いたのだった。
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