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『ん?…なんだ、あれ…。』
宏太さんは下った先に何かを見つけたようだ。
「何かありますか?」
『なんか…商店街の入り口のようなアーケードが……』
立ち止まる宏太さんの後ろから少しズレて先をみた。
「ほんとだ…。あそこに行けば助けて貰えるかもしれない!」
私は希望に満ち溢れ、宏太さんの手を離すとその先へ走り出した。
『ちょっと、千波ちゃん!待って!』
宏太さんは私を追い掛けて走り出した。
アーケードまであと十数メートルという所まできたときだった。
バサバサバサバサッッッ!!!!
「きゃあぁっっ!!!!」
私の前に何かが空から降りてきた。
うっすらと目を開けると黒い羽根が数枚、ヒラヒラと舞い落ちている。
顔を上げると…
「あなた…何…?」
人間の姿に黒い大きな羽根が背中から顔を出している。
ヒト?
トリ?
『この先へ行ってはなりません。生きては帰れないでしょう。』
私の質問には一切触れてこない。
『どういう事だ。』
宏太さんが私の前に立ち、私を背中へと隠した。
『…この先は烏の國です。ヒトが入り込んだら一瞬にしてその身体を鋭い嘴(くちばし)で引きちぎられ、原型を留める事なく血塗れの骨と残骸になるでしょう。』
何者か分からないソレは恐ろしい事を淡々と述べた。
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