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『何だよソレ…。んでその先に行かなかったって事か?』
小林さんが眉間にシワを寄せながら私たちに詰め寄る。
「はい…なんか、悪い人には見えなかったから…」
『けっ…。とかなんとか言ってよぉ、こっそり抜け駆けしようとしてんじゃねーのか?あんたら二人で。』
「どういう…」
『ほんとは逃げ道の手掛かり見つけて俺らを置いていこうって魂胆じゃねーのかって話だよ。』
「そんなっ!違います!」
ヒドイ!
そんな抜け駆けしようとしてんじゃねーのか?みたいな事、これっぽっちも考えてなどいなかったのにそんなことを言われ腹が立った。
そんな風に思うなら自分で見に行けば良かったじゃない!
嫌な事は人に押し付けるくせにっ!!!
そう…言ってやりたかったけど、しばらくは皆と一緒に居なくてはいけないので我慢する。
すると青木さんが私に近より肩をポンッと叩き、ニッコリと笑ってくれた。
『私はそんな風に思っていないよ?彼だって本当はそうさ。ただこんな偏狭の地に追いやられては気が滅入ってしまうだろう?だから気にする事はないよ。』
「はい…。」
そして、私たちは急いで囲炉裏の準備を進めた。
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