クローキング

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『あー…おっせぇなぁ。飯まだかよ?』 小林さんがだんだんとイラついてきているのが分かる。 するとあのバケモノが出てきた襖がスッー…と開いた。 『うわっ!』 『きゃあ!』 『ひぃっ!!』 またバケモノが出てくるのかと思い一斉に声が上がる。 しかし、その期待は裏切られ中から出てきたのは… 「あなた…さっきの…。」 森で会った正体不明のもの。 『あら…あなたこんなとこでどうしたのよ?そっちにはバケモノがいるんじゃないの?こっちきたらどう?』 奈津子さんがそいつを呼び寄せた。 『そうですね、仲間は一人でも多い方が心強い。』 青木さんも賛成のようだ。 だけどおかしい。 さっきの様に大きな翼がない。 このひとは人なのだろうか… 『おいにーちゃん、あんたは人間なんだろ?さっさとこっちに来てその襖閉めてくれよ。バケモノが住んでんだぜ?』 小林さんが苛立ちを交えて言うとその人の口元が少しクイッと上がった。 『はっ…私が人間ですって?ご冗談を。あなたたち下等民族と一緒にしないで頂きたい。』 『…っ!んだと!!!』 小林さんは苛立ちを抑えきれず立ち上がるとその人へ殴りかかった。 『っのやろう!!』 しかし、小林さんの拳をひらりと交わし冷静なままそこへ立ちはだかっていた。
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