クローキング

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『南さんに食事を持って参りました。』 そう言って後ろから食器運びのような台をカラカラと引っ張った。 『南さんにって…私たちのは?』 奈津子さんが一人分しか乗らないその食事の量を見てその人に質問する。 『ここでは働かざるもの喰うべからず。ここにいただけの貴女方に何故食事を?』 すると宏太さんが口を挟んだ。 『待てよ!この子…千波ちゃんの分はどうしたんだ!?さっき一緒に枝を集めに外へ出ただろう。なのに俺の一人分しかないっていうのはおかしいんじゃないのか?』 そう言って宏太さんは私を気にして抗議をしてくれた。 『…心配なさらずとも、秋田様にはこちらで用意させていただきます。』 『は?どういう…』 さらに突っ込もうとすると、その人はバサッと大きな黒い羽を片方出した。 『きゃあ!!』 『ひいいっ!』 皆はその姿に驚く。 『さぁ、秋田様はこちらへ…』 大きな黒い羽を私に向ける。 「い…嫌です…。」 ふるえた声を振り絞り真っ直ぐと見据えた。 そんな化け物がいるところへなんて行けない、そう思ったからだ。
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