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「あの…ここは一体……あなたは誰なんですか?」
聞きたいことは山程ある。
しかしまず、この状況を把握せねば…。
『驚くのも無理はない。ここは烏の國、烏だけで形成された小さな集落さ。
そして私はこの國の王、名はクローと言う。』
「クロー…」
『そして君は烏の國の王の跡取りを授かるべき人物。千波、君はとても素晴らしい人間だからね。』
「あたしが?」
『千波は元居た場所で烏に何をしたか覚えているかい?』
クローに聞かれるが…中々思い出せない。
『ははっ、それさ。千波は損得を考えずに烏の事を大切にしてくれた。
千波に助けて貰った烏は数少なくないのだよ。
私もそのうちの一人。
知ってるかい?烏はとても賢い。
自分に乱暴した者や、餌をくれた者、優しくしてくれた者を覚えている。
人間の顔をちゃんと識別するんだ。』
そんな事…知らなかった。
「じゃあ…私と一緒に来た皆も?」
烏に何かしてあげたのだろうか。
しかし、私が何気なく聞いた一言が余計だったらしい。
クローの目がいきなりギョロリと白目が無くなり黒目だけになった。
『あいつらなんかと千波を一緒にするんじゃない。あいつらは奴隷にするために此処へ連れてきた。
烏を邪魔モノ扱いし、家を壊し、自己満足の為に我々の仲間を殺した…あいつらなんかと!!!!』
クローの顔の毛がみるみるうちに黒い羽へと変わって行く。
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