烏ヶ國ーｶﾗｽｶﾞｺｸー

クローキング

『何故だい？』

「何故って…そんなの当たり前じゃない。お腹が空いている人がいてこんなに余るほどあるなら分けてあげたら……」

『はははっ…』

クローは乾いた声で笑いだす。

「なっ…に……」

『そうか、千波は烏にだけではなく人間どもにも優しいのか。だかそれではダメだ。烏達に示しがつかないだろう？』

何いってるの…この人は。

『人間など…烏の足元にも及ばない事を思い知るがいい。』

やっぱり…この人は普通じゃない。

いやヒトと呼べるのかすら疑問だ。

急に不安が襲い掛かり私は皆の所へ早く戻りたいと思った。

「私の事…皆の所へ戻して下さい。」

『食事が済んだらね。』

そう言って微笑む。

だけど……

温かみの感じられない微笑み。

「…っ………。」

恐い…。

早く皆のもとへ帰りたい気持ちと空腹を満たす為、私は椅子に座り食事を口にした。