クローキング

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「んっ……」 意外と美味しい…… 一口食べてしまうと手は止まらない。 ビーフシチューの様なスープをペロリと平らげ、フルーツを手に取る。 「これは…?」 『人間界でも食べているだろう?ドラゴンフルーツ…』 そう言われて一口かじる。 「これも…美味しい……」 ドラゴンフルーツなんて食べた事なかったけれど、甘酸っぱくて美味しい。 喉も乾いていたのでみずみずしさが口一杯に広がる。 お腹が満たされると、そこへ罪悪感が襲ってきた。 皆はお腹すかせているのに…私だけお腹一杯になるまで……。 クローが私の隣へやってきた。 『お腹は満たされたかな?さぁ、今日は私の隣で寝るがいい。』 そう言ってあの白くて透き通った手を差し出した。 「えっ…皆の所へ戻れるんじゃ…。」 『明日になったらね。今夜はやめた方がいい。』 「そんなっ!!約束が違うじゃないですか!!」 『私は皆の元へ戻すとは言っていない。』 っ……。 確かにそうは言っていないけど…。 私がうつ向くとクローは溜め息を吐く。 『やれやれ…仕方ない。それでは皆に試験として千波を戻してやることにしよう。 しかし約束するのだ。千波は食事を食べたと皆に告げよ。約束出来るかな?』 ニヤリと笑うクローが不気味だった。
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