クローキング

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「ありがとう…みんな。」 こんなに心配してくれたのにただご飯食べただなんて言えないよ…。 そう思った。 すると先程アガタが運んできたトレーが手付かずのまま置いてあるのに気付いた。 「あれ…みんなご飯食べなかったの……?」 私が問いかけると何だか皆の様子が可笑しい。 『あ…あのね?秋田さんが居ない時に…私たち食事を頂いちゃったのよ…。』 奈津子さんが気まずそうに言う。 『ちーちゃん、ごめんね?』 亜紀ちゃんもそう言って気まずそうに言う。 「あっ…そう……なの?」 他の人を見るとやっぱり気まずそうに下を向く。 「あっ…えとね?大丈夫だよ!あたしもご飯頂けたから!暖かいスープとフルーツを…」 そう口にすると一気に皆が私を見た。 「えっ…?な…に……?」 その視線が鋭くで突き刺さる。 『そう、良かったわね。』 三崎さんはツンケンと言い、鞄から参考書を出し読み始めた。 私…何か気に障る事言ったのかな…… もしかして、皆は冷たいご飯だった? 私ばっかり暖かいもの食べてしまったから…… そんな風に思った。
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