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私の仕事はただ話を聞くだけという、聞こえは簡単なものだがこれが意外と難しい。 相槌だけを打っていては信頼なんてされないし、自分の話だけをしても相手はつまらない。 だから色々なことを経験して、どんな人でも楽しませるようになろうと努力しているのだ。 「えぇっと……お客様?」 「僕の名前はお客様じゃなくて、ルナだよ」 「ルナさん、あの、近いです」 「そう?こっちじゃ普通だよ」 吸血鬼のルナさんは外国の、ここと似たような世界から来たらしい。 外国にも同じような場所があるのか、となぜか感動した。 しかしその間にもするすると近づかれて後ずさる。 こちらでは普通じゃないんです! 叫びだしたい衝動に駆られる。 「ストップ!ゴミがついているよ」 「え、どこですか」 思わず頭に手をやると、その腕を掴まれた。 「つーかまえた」 そのまま彼の方に引き寄せられる。 顔が近づいていく。頬に手をやられて、とっさに目を瞑った。
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