21人が本棚に入れています
本棚に追加
すぐさま出かける支度を整えロビーへ行くと、既にトキさんは待っていた。
いつもの麻の紺色の着物も素敵だが、今の猩々緋の着物に海老茶の羽織の姿も素敵だ、なんて一瞬見惚れる。
「すみません、遅れちゃって」
「いや、別にいい。俺の勝手で悪いな」
「トキさんは悪くないです」
丁度女将がやって来て、外へ出るならこれを買って来いと何やらメモを渡された。
行ってきますと一礼すると気を付けてね、と歌うように見送られた。
最初のコメントを投稿しよう!