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すぐさま出かける支度を整えロビーへ行くと、既にトキさんは待っていた。 いつもの麻の紺色の着物も素敵だが、今の猩々緋の着物に海老茶の羽織の姿も素敵だ、なんて一瞬見惚れる。 「すみません、遅れちゃって」 「いや、別にいい。俺の勝手で悪いな」 「トキさんは悪くないです」 丁度女将がやって来て、外へ出るならこれを買って来いと何やらメモを渡された。 行ってきますと一礼すると気を付けてね、と歌うように見送られた。
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