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「なみちゃん、貴女に選択肢をあげる」
碧さんが口を開いた。
その選択肢を選ばないでいたら、一体どうなるのだろう。
「一つは、きちんと閻魔様の所へ行くこと。
もう一つは、やりたくないけれどわたし直々に裁くこと。
最後は、」
碧さんはそこで意味ありげに微笑んだ。
ぞっとするほど冷たい笑みだった。
「それ以外よ」
「……曖昧だな。今時、小鬼でも言わないぞ」
トキさんの皮肉にも眉ひとつ動かさず、碧さんは微笑している。
それ以外という予想の遥か上をいく選択肢。
幅が広いため恐怖も伴う。
未知の恐怖というべきか。
「さあ、どうする?わたし、せっかちだからあまり待たせないでね」
本当に究極の選択。命が掛かっているのだ。
閻魔大王のところへ行くということは、やはり死を意味するのだろうか。私が死んでいたらの話だけれど。
碧さんに裁かれるというのも、物理的な意味なのだろう。
私はまだここにいたい。
それを現実にするには。
「それ以外で、お願いします」
碧さんは分かっていたように頷いた。
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