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「貴女ならそう言うと思っていたわ」
碧さんはそう呟くと、立ち上がって机の方に向かった。
そして引き出しを開けて、何かを取り出して。
「おい、やめろ!」
トキさんの怒号が聞こえて。
「まあ、頑張ってね」
碧さんは微笑んで。
白い光が煌めいて。
意識が飛んで行った。
……?
目を開けると木の天井が見えた。ゆっくり起き上がると、まず自分が布団を掛けて寝ていた事に気づく。
そしてカーテンの隙間から太陽の光が差し込んでいる。
太陽の光?
私は慌ててカーテンを開いて外を見た。
確かに悠々と空に浮かんでいる。
可笑しい、と思った瞬間奇妙な感覚に捕らわれた。
太陽が浮かんでいるのは可笑しいのか。いや、可笑しくないだろう。
ではなぜ私は可笑しいと思ったのだろう。
「かなでー降りてらっしゃーい!」
「はーい」
私は返事をして布団を蹴飛ばした。
今まで何をしていたんだっけ。
夢を見ていたんだっけ。
どんな夢だっけ。
ああ、忘れてしまった。
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