episode180 窓辺

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「いや。ただ屋敷から出てきたとこかと思ったんだ」 こんなことなら 引き留めておくんだったと。 「とにかく、中へ戻ろう」 駄々っ子を宥めるように 椎名さんは僕の肩を抱いた。 「震えてるじゃないか」 「……平気だよ」 彼の手を払いのけ よろめきながら今来た道を戻る。 フラフラするのは 薬が効いてきた証拠。 最近じゃ己の体温を奪って 心の安定を取り戻す。 「ねえ、本当に征司お兄様だった?」
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