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「それで?あなたは?」
「僕?」
「今日は何の御用でいらしたの?」
僕は話をそらした。
「満だよ。イギリスにいるんだって?」
それで思い出したように椎名さんは言った。
「ああ、満くん。休暇がてらどこか行っておいでって」
「どうしてまた?」
「僕を心配しすぎるからさ」
囚われていた教会から戻ってからというもの。
満は始終僕の傍を離れず
甲斐甲斐しく世話を焼いてくれた。
だけど――僕はそれが窮屈だった。
何より
『和樹坊ちゃん――この小包は?』
勘のいい彼のことだ。
すぐに僕が怪しい薬を過剰摂取していることも
気づくだろうと思った。
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