episode180 窓辺

9/30
前へ
/30ページ
次へ
「冗談ばっかり」 ようやく笑顔を見せた凪は 僕が再び身を投げたソファの足元に座った。 「で、どうだった?僕の記事は――」 テーブルの上の週刊誌を手に取り 己の書いた記事を開くと不安げに問う。 「そうだねえ――だいぶあなたの主観が入っているけど最高だよ」 「……僕の主観?」 「そ、例えばここ」 「読んで」 「巧妙に人を惑わす天宮家の三男だが――素顔は繊細で壊れやすい少年のようだ」 爪先が触れる程度 悪戯に足を動かしてやると。 「あなた僕の素顔を知ってるの?」 凪は落ちつかなさげに あからさまもぞもぞした。
/30ページ

最初のコメントを投稿しよう!

183人が本棚に入れています
本棚に追加