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ツツーツー。
通信が入った。
私のボス(借金取り)からだ。
ロマンスグレーの眼鏡の紳士が、私の目の前に映し出された。
「やぁ、ルコノスタス君。今朝はご機嫌そうだね」
「ご機嫌ななめです! もっとスタイリッシュなロボットはないんですか」
私はしくしくと泣きじゃくった。
ただし身体がロボットなので嘘泣きである。
「だめだよ~。ロボットの身体の方が気に入っちゃったらキミ、お金を借り逃げしちゃうでしょ」
「逃げたりしません! こんなんじゃやる気が出ないんです!」
「ほほう。やる気が出ないのか」
「私の肉体(カラダ)は無事なんでしょうね!」
「それはキミ次第だよ、ルコノスタス君。キミのように天然物のDNAで容姿の整った肉体は高く売れるんだ。早く返済しないと売っちゃうよ?」
「わ~んっ、売らないでください! 早く仕事がしたいです! ちょうだい!!」
「よしよし。その調子で今日も張り切ってもらおうか。
今日の仕事は宇宙エレベーターの素敵な清掃作業だよ。キミの新しいバディが現地で待っているから、詳しくは彼に聞いてくれ。わかっていると思うが、例によってすぐに出発しないとその身体は爆発するぞ! では以上」
通信が一方的に遮断されて、カウントダウンが始まった。
『爆発まであと三秒……』
「ぎゃーっ、この鬼メガネ~~~!!!」
私は慌ててガソリンスタンドの充電コーナーから飛び出した。
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