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エレベーターの壁は透明で外の景色が丸見えだった。
エレベーターが上昇し始め、地表が遠ざかってゆく。
私は武器になるものがないかと周りを見渡した。けれど重機ロボットに効果のありそうな物は何も見当たらない。
重機ロボットとの間合いを保ちながら私はじりじりと後ずさった。
「ねぇ、落ち着いて。今すぐ奪った肉体を返しなさい。だいたいあんなにたくさんの肉体を奪ってどうするつもりよ」
「世の中には他人に成り代わりたいお人がたくさんいるんだ。俺たちは金の力でその夢を叶えているのさ!」
重機ロボットは問答無用に拳をたたきつけてきた。
私はそれをかわして思いきり蹴飛ばした。
しかし重機ロボットは全くダメージを受けていない。
絶え間なく振り下ろされる重機ロボットの腕をすんでの所でかわしながら、私は攻撃の機会を覗った。
重機ロボットの脇をすり抜けて、間髪を入れずに宙を飛んでコクピットに体当たりを試みた。
がしかし脆くもたたき落とされる。
そのたった一撃で、私の機械の身体は動かなくなってしまった。
――このままじゃやられちゃう!
重機ロボットはゆっくりと間合いを詰めて、私に火炎放射器の狙いを定めた。
「溶かしてリサイクルしてやんよ!」
私は炎に包まれた。
身体が真っ赤に発光し、もはや溶け去るのも時間の問題かと諦めかけた――その瞬間、私は白く輝くバリアの中に包まれた。白いバリアは弾丸の速さで膨張し、重機ロボットをはじき飛ばした。
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