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 すでに北不二演習場の幹部と須佐乃男(すさのお)の操縦者候補の新任少尉たちが顔をそろえていた。タツオの顔に気づくと、ざわついていた宴会場の会話がぴたりと止まる。誰かの囁(ささや)きが切れぎれに聞こえた。 「……東園寺(とうおんじ)崋山(かざん)を殺した」 「……正操縦者候補に一番近い」 「……反逆者の息子か」 「……止水(しすい)」  そういう目で見られているのか。幼馴染(おさななじ)みを冷酷に打ち殺した正操縦者候補。呪われた元近衛(このえ)四家の次男坊。一族の秘術を使う怪物。  カザンを倒した日から、周囲のタツオを見る目は明らかに変わっていた。以前のように軽々しく話かけてくる者はいなかった。誰もが冷ややかな恐れをもって、慎重に測るように接してくる。タツオは新しい自分に居心地の悪さを感じていた。
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