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「おお、主役のおでましだ」
空気を読まずに声をあげたのは、日乃元最大の複合軍事企業・五王(ごおう)重工の次世代を約束された五王龍起(たつおき)だった。隣にはタツオキと同じ濡れたように光る漆黒(しっこく)の軍服を着た東園寺彩子(さいこ)も、瞳を半分閉じて立っている。魅力的だったおおきな目を、兄が死んでから封印しているのだ。
タツオキが自分の隣を示していった。
「こちらにきてもらえないか。紹介しなければならない方々がいる」
タツオと元3組1班は警戒しながら、宴会場の中央に向かった。氷の彫像はどこかサイコに似た少女が着剣した74式突撃銃を構えている。
「またなにかたくらんでるな」
タツオの耳元でクニがいった。タツオたちがタツオキと合流すると、銀の盆をもったウエイターがやってきた。まだ17歳なのでアルコール類ではなく、フルーツをつかったカクテルグラスが載っている。
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