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 タツオキが天童本家の天童航(わたる)に声をかけた。 「ご紹介します。こちらが逆島断雄くん。『止水』のつかい手で、現在『須佐乃男』正操縦者に最も近いといわれているかたです」  ワタルは朗らかだった。窮屈そうなところがどこにもない不思議な質感の青年だ。 「そうなんやね。ぼくだけでなく天童家とも、今後ともよろしゅうお願いします。『止水』というのは、どういう技なんかな」  他の候補者とは明らかに違っていた。ワタルはタツオのことをまるで恐れていない。タツオはカクテルをひと口飲んでからいった。間をとって相手のペースに巻きこまれないようにしなければならない。
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