60人が本棚に入れています
本棚に追加
タツオキが天童本家の天童航(わたる)に声をかけた。
「ご紹介します。こちらが逆島断雄くん。『止水』のつかい手で、現在『須佐乃男』正操縦者に最も近いといわれているかたです」
ワタルは朗らかだった。窮屈そうなところがどこにもない不思議な質感の青年だ。
「そうなんやね。ぼくだけでなく天童家とも、今後ともよろしゅうお願いします。『止水』というのは、どういう技なんかな」
他の候補者とは明らかに違っていた。ワタルはタツオのことをまるで恐れていない。タツオはカクテルをひと口飲んでからいった。間をとって相手のペースに巻きこまれないようにしなければならない。
最初のコメントを投稿しよう!