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 ワタルがジョージから視線をずらした。右肩の上あたりを見ながらいう。 「明るい栗色の髪をしたエウロペの将軍が見えるな。きみを守っている守護霊みたいだね。カイゼル髭(ひげ)をはやした小柄な人だ。きみにいいたいことがあるようだ。うん……」  ジョージが驚いた顔をした。タツオは親友のそんな顔を見たことがなかった。 「……ぼくの祖父だ。例のカウンターの名手だよ」  タツオが「止水」の第二段階「観の止水」を発動させるきっかけになった人物だった。エウロペのウエルター級ボクシングチャンピオンになったという。  ワタルがジョージの右肩のあたりにいる誰かから、なにごとかを聞いて笑っていう。 「ジョージくんのカウンターはまだ無駄な力が入っているそうだ。もっと完璧な脱力ができれば、さらに威力があがる。ボクシングの名人みたいやな。あとな、日乃元だけでなく、父の故郷も守ってくれといってはるよ。あんたのお祖父さん、いい人やな」  今度はタツオも開いた口がふさがらなかった。天童本家の次期当主は、とんでもない霊感をもっているようだ。
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