第1章

2/2
前へ
/2ページ
次へ
 僕なんか消えてなくなればいいんだ。泡雪のように。そう思っていたら、ほんとに僕の身体は透明になってしまった。どうしよう。  僕の存在なんて、たいしたことなくて、いてもいなくても同じだって思ってた。みんなも、僕が、いようがいまいが、たいして気にもとめてないんだろうって思ってた。  僕は、みんなの話の輪に入れないし、話の輪に入ってみたところで、話の主導権は、永遠に僕にまわってこない。僕にだって、話したいことはあるのに、誰も僕の話を聞いてくれない。  けれど、いざ、僕に話の番がまわってくると、僕はおじ気づく。慣れないことなので緊張してしまう。人の目が気になる。いっそ透明人間にでもなれば、楽になれるかも。  確かに、そう思ったけれど。
/2ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加