第1章

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でも、違った。周りはなにも変わらなかった。私を哀れみの目でみるわけでもなく、普通に接してくれた。 いや。、でも、ちゃんと気遣いはしてくれた。なるべく右耳に喋るようにとか、夜中にこっそり手話の本を見たことがあった。 友達も彼氏もなにも変わらなかった。大変だったね。とか大丈夫?とかは何もない。普段と変わらない日常。 帰り道もずっと楽しい話ばっか彼はしてくれた。でも、駅で離れる前彼は真剣な顔をして言ってくれた。 「本当は俺の左耳をあげたいって思った。でも、そんな事できないから俺はお前の左耳の代わりになる。いつでもお前のそばにいて支えるから。な?頼れよ?」 あぁ。なんて温かいんだろう。私を悲しみの渦から手を差し伸べてくれる人がたくさんいる。 自分でなんとかしようと自分が悲劇のヒロインだと考えてた私がバカだった。 なんでこの世の終わりだなんて考えたんだろう。 私はみんなにこんなにも愛されている。そう感じられたきっかけが、左耳の事だった。 私はこの左耳のことを克服して生きてゆこうと感じた。周りに支えてもらいながら。 最悪だ…この世の終わりだ…そう感じたのは間違いだった。 それはチャンスだったのかも知れない。生きてゆこうもっと周りと支え合いながら生きてゆこうと思ったのだから。
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