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新しい年が始まってから2週間後、彼女─桜庭巴はホテル地下階にある美容室にいた。
(わぁ・・・すごい!)
地毛のショートヘアーから、つけ毛でベールが映える髪型にセットされ。
ホットビューラーとアイメイクとマスカラで、今まで見たことがないくらい目がぱっちりした状態になっていく。
鏡の中の自分が担当者のヘアメイクによってどんどん変化する様を、巴は興味深く見つめていた。
(一生に1回の機会だもんね、楽しんどこうっと)
ヘアメイクを終え、ドレスとベールとアクセサリーを含めた全体の仕上がりを慎重に確認した担当者は満足そうな笑顔で言った。
「スレンダーでいらっしゃるから、とても良くお似合いですよ」
(イイ!例え社交辞令だとしても嬉しい!)
試着の際、一目惚れしたオフショルダー、マーメイドラインのウェディングドレス。
ドレスのレンタル自体基本プランに上乗せの金額が発生したり、ドレスに合うベールやグローブを購入したりと、なんだかんだ余計な出費はかかったが、それだけの価値はあったと巴は素直に思った。
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