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カルピスサワーを飲み干した巴は、思い切って訊ねた。
「今までお付き合いした事は一度もなかったんですか?」
副店長は動揺する事もなくしれっと即答する。
「いや、何度かはあるが・・・いずれも相手に愛想を尽かされた」
(やっぱり男はスペックだけじゃないのね)
「副店長が女心に疎いからでしょうか?」
どうやらいくら条件が良くても心の機微を読み取れない男はフラれるものらしい。
「あとはたぶん休みが合わないことに起因するすれ違いというやつだ」
「あー・・・」
(でたよ、スーパーあるある)
土日祝日、盆暮れ正月、世間の休みはスーパーマーケットの稼ぎ時。
カレンダー通りの生活をしている人とはなかなか休みが合わない。
事実、巴自身も学生時代の友達とは休みが合わず誘いを断る事も多く、徐々に疎遠になりつつある。
(ん?・・・ということは・・・)
はた、と巴は気づいた。
「もしかして、休みが合わせやすいからって理由で私を選んだんですか?」
「決してそれだけではない!年齢もちょうど良いし、スーパーで働いているし」
(いやいや、それ私じゃなくても当てはまるからね)
澄んだ瞳で主張しているが、自ら残念なイケメンである事を実証している気がしてならない。
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