1.お試し期間の始まりは、

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新しい年が始まって早々、彼女─桜庭巴(さくらば ともえ)は。 「桜庭さん、俺と付き合っていただけないだろうか?」 密かにずっと憧れて続けてきたシチュエーションに遭遇した。 相手は同じ職場で働く朝日慎一郎(あさひ しんいちろう)。 6つ年上の32才。 超絶とまではいかないけれど、そこそこ整ったしょうゆ顔。 一見地味な黒縁眼鏡も、容姿を際立たせるアイテムとして機能している。 (・・・ある日突然告白されるなんて、コレ現実?) 彼氏いない歴27年。 今まで恋愛に全く縁がなかった彼女の鼓動は否応なく早くなる。 (はぁーっ、ドキドキが止まらん!これかー、これが胸キュンってやつですか!) 「ただ俺は・・・・・・し、君が・・・・・・あると思う」 舞い上がっているせいで彼の言葉がまともに耳に入ってこない。 「・・・ということで、半年お試し期間を設けたい」 (─お試し?) そのフレーズに、一気にときめきが吹っ飛んだ。 (お試し期間!?) 君が好き、とか一緒にいたい、とかではなく。 半年間"彼女"として仮採用、みたいな。 「・・・・・・はい!?」 (私の胸キュン返せーっ!!)
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