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水中トンネルの上を、悠々と泳ぐマンタやエイ。
軽食を食べながら見るイルカショー。
可愛いペンギンやアシカたち。
「これ可愛い!フカフカ~」
「欲しいなら買おうか?ほら、ホワイトデーに気の利いたものあげられなかっただろ。その代わりに」
「じゃあ、お言葉に甘えて。お願いします!」
慎一郎が買ってくれたアザラシのぬいぐるみ。
たくさん笑って、楽しくて楽しくて。
─この時巴は、完全に浮かれていた。
あとで手痛いしっぺ返しをくらうなんて夢にも思わずに。
二人はアクアパークを満喫した後、駅前の有名なコーヒーショップに入った。
時間はまだ15時だが、明日は仕事。
ここ最近ハードスケジュールだった慎一郎の体調を考慮して、今日は早めに解散する予定にしていた。
「今年は販売士3級の通信講座申し込んだんです。もしわからない事が出てきたら聞いてもいいですか?」
「もちろんだ。わかる範囲内の事ならいつでも答えるから」
「ありがとうございます!」
慎一郎は今日のおすすめコーヒー、巴は抹茶ラテを片手に、テーブルをはさんで言葉を交わす。
「そういえば、セミナーの初回どうでした?」
巴の問いに、慎一郎は苦笑いしながら答える。
「同期の顔を見つけるまで緊張でガチガチだったな」
「同期の方って?」
「ああ、駅前店の副店長をしている三上さんって女性だよ」
(・・・・・・はい!?)
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