第2章 賢帝レオン

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「さて、ここのモンスターも殆ど片付いたようだな。後の残りはじきに散るだろう。」 レオンはモンスターが少なくなったのを見て、撤収の頃合いと判断する。 「ジェラール、これからこの地を封印する。これで付近がモンスターに悩まされる事もなくなるはずだ。」 レオンは一行を連れてダンジョンから出ると、入り口の扉に術による封印を施し、文字を刻印した。 帝国令772。この地を封印する。 「さあ、アバロンに帰るぞ。帰るまでが任務だ。道中、気を抜かぬようにな。」 アバロンへの帰り道、ジェラールは陣形どおり、レオンの後ろについていたが、彼が兵達に囲まれて歩いている姿を見て、とても頼もしく、それでいて温かい気持ちを感じた。 そして何より、その背中は大きく、遠い。 憧憬にも近いようなこの気持ちは、やはり自分の弱さ故なのか。 皇帝の嫡子たる自分に何かの奢りがあるのか。 父上のようになりたい。 そう願うも、それは遠い道のり。その時のジェラールにはそう思えたのだった。
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