第2章 賢帝レオン

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「七英雄が帰ってきたというが、争いが収まる気配は無い。戦いも当分続くだろう。ジェラールも戦闘経験を重ねて、ヴィクトールの片腕として働かねばならぬのだ。」 レオンは国の事、ヴィクトールやジェラールの今後を考えての判断だ。 ヴィクトールの弟かわいさからくる保護では、皇帝としてのレオンは揺るがない。 「ジェラールの才能は内政に活かすべきでは…」 レオンも皇帝として、国が絡む内政ともなると少し弱い。 ジェラールの才能がそこに欲しいのは確かなのだ。 と、そこに連絡役の兵士が入ってきた。 「オアイーブという女がお目通りを願っておりますが?」 ちょうどヴィクトールに弱い所を突かれて、返答に困っていたレオン。 これはチャンスとばかりに 「またか。連日熱心に通ってくるな。仕方ない。通してやれ。」 その言葉を聞いた兵士が玉座の間から去ると、程なくして、赤いローブとヴェールに身を包んだ魔術師風の女が現れた。 「お目通りがかないまして光栄です。皇帝陛下。」 「まだお若いな。魔術師というから相当な年寄りかと思っておったわ。」 女の以外な姿に少し驚くも、レオンは冷静に自身の思い込みを改めた。 女はヴェールに加えて口元を隠しており、その表情を深く伺う事ができない。 「…お前たちは下がってよいぞ。」 退室を促されたヴィクトールとジェラールは、そのまま玉座の間を後にした。 もう少しでレオンに話を聞いてもらえたかもしれないヴィクトールは、少し悔しい思いだ。 タイミングが悪かった。
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