第2章 賢帝レオン

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玉座の奥から階段を下りた、宮殿内の1階。 そこは多くの兵士達が常駐する、詰め所となっている。 もし宮殿内に不法な侵入者があれば、彼らによってたちまち捕らえられ、吊し上げられてしまうだろう。 レオンが信頼する家臣達、彼らの実力も忠誠心も折り紙付きだ。 「ジェラール様、ご機嫌麗しゅう。」 屈強な兵士が多く集まる中、そうでない者ももちろんいる。 「ジェラール様、術は使っておいでですか?使わねば成長しませんよ。」 彼女は宮廷魔術師のエメラルド。 主に宮廷内における魔術的な事柄を担っており、その研究や技術向上に励んでいる。もちろん術による戦闘も可能だ。 「エメラルド、あいにく術は学んでいないんだ。」 「では、私がファイアーボールを教えましょう。」 ファイアーボールは、彼女の得意とする火術の中でも最も基本的な術で、文字通り、火の玉を飛ばすだけの簡単なものだ。 しかし、武器も満足に扱えない自分が、レオンの役に立つ戦闘を行うなら、術による支援が効果的かとジェラールは考えた。 エメラルドから簡単な手ほどきを受け、ジェラールはファイアーボールを習得。 自分の必殺技を身につけたような気持ちで、少し嬉しい気持ちだ。
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