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レオンとジェラールが出立してからしばらく。
ヴィクトールは玉座の間で皇帝代理を勤めていた。
「ヴィクトール様。」
「どうした。」
伝令兵が玉座の間に伝書を持ってきた。
「武器開発室から、新しい武器の開発提案書が届いております。お目を通して頂き、よろしければ許可印をお願いいたします。」
「わかった。預かろう。」
ヴィクトールは提案書を預かり、目を通してみるが、その内容に驚いた。
提案書
新しい大剣を開発したいと思います。
つきましては40万クラウンほど使わせていただけると…
「40!?40万クラウンだと!?おい!大臣!大臣はいるか!」
あまりの金額に目を丸くしたヴィクトールは、財政を管理する大臣に相談しようと呼び立てた。
「ど、どうなさいました!ヴィクトール様!?」
ヴィクトールのあまりの剣幕に、慌てて大臣が駆けてくる。
「新しい武器の開発に40万クラウン必要だと開発室が言ってきた。いくらなんでも、これは予算をかけすぎではないか?」
話を聞く大臣は、大金を耳にしてもあまり動じる様子はない。
「それでしたら、いつも通りだと思います。先の開発にも、同等の予算がかかっておりましたから。」
「そんなもの…なのか?」
「はい。そんなものかと。」
大臣は慣れた様子で、さらりと答える。
「帝国の金庫の蓄えはいかほどだ?」
「60万クラウンほどです。」
つまり、これを許可したら金庫がだいぶ空いてしまうということだ。
「わかった。呼び立ててすまなかった。下がってよい。」
「では、また何かございましたらお呼びくださいませ。」
大臣は金庫のある管理室に戻っていった。
「はぁ…これは父上に通さないとさすがに許可できんな。私の一存でこんな大金は動かせん。開発内容にだけは、目を通しておくか。」
開発の提案があったのはクレイモア。
現在、帝国で兵装として広く使用されている大剣の改良型だ。
素材を変更することで、強度を保ち、より刀身を鋭く、サイズを大きくすることで、飛躍的に威力を増したものだ。
これが完成し、量産に成功すれば、帝国の戦力は増すだろう。
開発室も、伊達に高額な資金を要求しているわけでもないようだ。
「しかし、開発費用が高い。これは今しばらく保留にしておこう。」
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