8人が本棚に入れています
本棚に追加
/64ページ
-アバロン共和国・酒場-
仕事帰りの人達で賑わう、とある酒場。
華やいだその空気は、今あるこの平和の象徴のようだった。
その中で私は、かつての戦いの日々を思い出す。
初代から脈々と受け継がれてきた、長きにわたる戦いの記憶が今、鮮明に蘇ってくる。
淡いオレンジ色の明かりに照らされた店内で、大勢の客が酒盛りを楽しんでいた。
その中に、ひときわ風変わりな男が1人。
帽子を深く被り、薄い緑と黄色で装飾された外套に身を包んでいる。
男は酒を楽しむでもなく、店の片隅に、佇むように座っていた。
ふと、少年が男に声をかける。
男はにっこり笑うと、少年と共に店の中央へ。
外套の中から竪琴を取り出すと、それをひと鳴らした。
ポロロン!
美音一閃。がやがやとした店内は一瞬にして静まり、人々の視線は男に注がれた。
男はそのまま演奏を続ける。
美しい音色が、オレンジ色の明かりと共にその場を包み、ここに物語が始まる。
最初のコメントを投稿しよう!