思い出話。

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されるが、ままになんて……。 でも、良く考えてみる。 されるがままになりたくないなんて言ったって、どうせ助からない。 3人に埋め尽くされる視界。 荒い呼吸。 押さえつけられた足や腕に走る痛み。 頭がくらつく。 そんな中、加藤の顔が3人の隙間から少しだけ見えた。 かろうじて動かせた右手を思わず伸ばす。 「加藤……っ」 悲痛な叫びは、たった1言で打ち消される。 『俺丁度金なくてさぁ?』 加藤はポケットからビデオカメラを取り出し、俺らに向かって構える。 『お前らのセックス……? は、強姦? それ撮って売ったら多少の金にはなんじゃねぇ?』 加藤から目が逸らせない。 何を、言ってるんだ。 『お前ら皆、ほんと気持ち悪ぃよ』 ピッ、という録画開始の音がした。 もう、どうにでもなれ。 ──……。
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